Fluids Engineering Laboratory

山形大学工学部 李鹿研究室

研究分野

 当研究室は、先端可視化計測技術と次世代知的情報処理による複雑な流動現象の解明を目指すとともに、省エネルギーに直結した自動車・新幹線の空力設計や潜水艦の抵抗低減の設計、工業プラントの各種原料の流体輸送システムの開発、アメンボの流体推進力を備えたマイクロロボットの試作、「流れの癒し効果」の人間環境への導入などを目的とした応用研究を推進している。これらの独創的な機械システムの創成研究を進展させ、同時に研究活動を通じて優れた人材の育成を目指す。

 

Keywords:流体工学、可視化情報学、粉体工学、生物工学、人間環境工学、画像情報処理


研究テーマと概要

複雑系流動現象からの渦構造の抽出

 レイノルズ数が高いとき、円柱などの二次元物体の下流には、物体からの周期的な渦放出により、カルマン渦列が形成されることがよく知られている。カルマン渦列は下流では三次元的に複雑な構造をもち、大小様々な渦からなる。この研究は、ウェーブレット多重解像度法を用いて実験データを解析し、時間-空間-周波数空間における後流乱流の渦構造の解析を行っている。この研究は、後流乱流の制御に対して、非常に重要である。

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マルチスケールのカルメン渦の流線図

自動車ドアミラー周りの流れの可視化と制御

 自動車のドアミラーは流れに対して突起物として取り付けられ、後方に大きな剥離領域が存在する形状を有している。このため、ドアミラーは自動車の抗力を増加させ、高速走行時には風切り音が発生する。近年、自動車の快適性が重要視され、ドアミラーの抗力、発生する風切り音の低減が望まれている。本研究は、空気抵抗低減且つ低空力騒音の性能を持つ自動車のドアミラーを開発する。

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自動車ドアミラー後方における流れの三次元計測結果(流線分布)

「流れの癒し効果」の人間環境への応用

 「1/fゆらぎ」はナノからマクロまで、生命体、非生命体に関係なく、広く自然界に存在する現象である。例えば小川のせせらぎや小鳥の囀りなどの心安らぐリズムが相当する。近年、人と自然と技術の融合が注目され、ストレスに拠る心身症や鬱病患者などに1/fゆらぎを有する絵画、音楽、風景、風が在る環境を与える事で癒し効果が研究され、工業製品の、いわゆる、Well-being Designの実現が期待されている。本研究では、人類の文明的生活へ流れのゆらぎの癒し効果を導入することを目指す。

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円柱後流のPIV動画像のパワースペクトル傾き分布
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円柱後流れ渦度のパワースペクトル傾き分布

水面歩行アメンボのマイクロ推進力の解明と「アメンボ型ロボット」の試作

 水面を歩くアメンボ類は、自由表面が湾曲して生じた表面張力によって体重を支え、水をはじく左右の中脚をこぐように動かして進む。本研究にはアメンボの水上歩行による発生した流れ場に対して、マイクロPIV技術を用いて速度分布の計測と可視化が行われる。さらに、アメンボの推進力と流れの渦構造との関係を解明し、推進メカニズムを定量的に明らかにする。また、本研究で得た推進メカニズムの知見を手引きとして、本物のアメンボと同じような水上歩行能を備えたマイクロロボットの試作を目指す。
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アメンボの水上歩行による発生した渦の可視化

火星のデューン形状を模倣した流体抵抗軽減技術に関する実験研究

省エネルギーを目標として、火星には自然がつくるデューンを模倣することによって流体抵抗低減の装置を開発する。まず、火星デューン周りの流れを可視化し、流体抵抗低減の原理を明らかにする。次に、空力形状を最適化することによって流体抵抗低減のデューンを設計する。

デューン周りの圧力係数分布
砂丘の後方断面の流線と渦度分布

粒子画像流速計測技術における動画像圧縮技術の評価

 一般的な動画像圧縮方法としてMPEGが広く普及しているが、圧縮倍率を上げていくと画像中にブロック形状の境界が顕著に見えるほか、モスキート・ノイズという画像劣化が大きくなるという欠点がある。これを改善するため、次世代の動画像圧縮方法としてMJPEG2000の標準化が進められている。一方、流れの可視化技術とデジタル画像処理技術を駆使した粒子画像流速測定法(PIV)は最新の流体計測手法として多方面で活用されている。本研究では、PIVにおいてMPEGとMJPEG2000を比較することにより、MJPEG2000のPIVの実用性を評価する。

円柱後流のレイノルズ応力分布:
PIV原画像の解析結果
円柱後流のレイノルズ応力分布:
圧縮倍率30のPIV画像の解析結果

粉粒体空気輸送装置の開発

 各種工業材料の輸送手段として、自動化、省スペース化に優れ、さらに衛生管理の容易さなど地球環境への負担が少ないという利点などから、近年、管路内の空気流を利用する粉粒体の輸送技術を使用している。従来の空気輸送技術では輸送の消費動力が大きくなり、管路の摩耗及び被輸送物の破砕が問題になる。これらの問題解決のため、輸送エネルギーの節約の観点からデューン(砂丘)機能性輸送管を備えた空気輸送システムを開発する。

デューン周りの圧力係数分布
砂丘の後方断面の流線と渦度分布

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